様々なジャンルの「プロ書き手」によるニュースレターが配信される「theLetter」で2024年11月7日に配信された記事です。
先日の衆院選に立候補して落選されたとある医者の投稿が物議を醸しています。
全文を読んでも全て個人の感想レベルの話で、一つも科学に基づかない内容です。
その中でもあえて抽出してみると、このような記載がありました。
”はっきりいえば、発達障害なんて言われているものの99%は、すぐに治ってしまいます。その方法論もそれほど難しいものではなく、親が学ぶだけで劇的に変わってしまいます。しかし毒親はどこまでもこの子は発達障害だから仕方ないと、嘘をつき続けるのです。”
”そのことを指摘したときに親たちが行なう正当化は、目に余るものがあります。彼らはその子がもたらす症状の真の意味を知りません。その症状が何を訴えているかを考えません。親自身が適応能力や対処能力がゼロであることを理解できていません。「自閉症や発達障害は親の責任ではない」というドラマにも使われた殺し文句も大ウソなのです”
「theLetter」とのタイアップ企画
様々なジャンルの「プロ書き手」によるニュースレターが配信される「theLetter」と朝日新聞がタイアップして、一部コンテンツを配信します。この連載では小児科医「ふらいと先生」が執筆するニュースレターから、子どもの健康や医療に関連する記事を配信します。
正直、彼のこの発言を聞いた時「またやってるわ」としか思いませんでした。過去には「障害児は親のせい」と発言した方で、こういったスタイルをビジネスとして発信してる方ですから今更何も真新しい事は思わないのです。
しかし、一方で自分のニュースレターで定期的に質問を募集してるQ&Aコーナーにこのような投稿がありました。
【いつも楽しく拝読しております。発達障害について気になっていることがあります。インターネット上では「発達障害には育てかたは関係ない」という書き込みをよく目にしますが、とある知っている子供で発達障害及び境界知能との診断が降りている子がいまして、その子に関しては「生育歴や病気の治療(白血病です)の影響もある」と言われているようです。「発達障害には育て方は関係ない」というのはあくまで一般的な通常の子育てを行っている家庭の話なのでしょうか?例えば殴る蹴るなどの明らかな虐待であったり、厳しい闘病生活であったり、そういった子供にとってつらい経験が発達障害などに繋がるということはあるのでしょうか。お忙しいところ恐れ入りますがご教授いただければ幸甚です。何卒よろしくお願いいたします。】
このご質問をして頂いた親御さんの反応をみると、とても胸が痛みました。これはしっかり科学に基づいて回答をしなければいけないと思い今回のニュースレター執筆に至りました。
この説を一般の方が言うのはまだしも、医師免許を持った人間が選挙中とはいえ公式に発言するのは怒りしか覚えません。
ということで、親の育児と発達障害は関係があるのか、虐待や病気などによって発達障害は増えるのか。怒りの科学的検証を始めたいと思います。
発達障害児親の苦悩
私の発達外来はおおよそ3割が…